■ -第16回- Che freddo! (寒〜い!) (2009/2/18) <バックナンバー>
Salve amici! Come state?
(サールヴェ アミーチ! コメ スターテ?)
皆さんこんにちは。いかがお過ごしですか?今日もまた楽しくイタリア語をお勉強しましょう。
さて、2009年第1回目のテキストは“IL PRIMO INVERNO(最初の冬)”、小学校3年生向けです。
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Quando venne il primo inverno sulla Terra, nessuno degli animali sapeva piu` che cosa fare. Erba non ce n’era piu`. Frutti nemmeno. Tirava un vento freddo che faceva accapponare la pelle.
地上で最初の冬が来た時、動物達はみんな途方にくれてしまいました。草はなくなり、果物もありません。冷たい風が吹いて、鳥肌が立ちます。
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「いったいどうなってるんだ?」動物達はわけもわからず、鼻をすすっていました。みんな風邪をひいていたのです。
あれこれ考え込んでいると、犬が言いました。
「この夏に僕らといっしょに森の中にいたあのつるっぱげの動物は、いったいどうやってこの寒さから身をまもってるんだろう..あいつ、なんて名前だったっけ? ああ、ニンゲンだ!」
Lo cercarono ovunque, finche` videro un chiarore lontano e si avvicinarono. Era un fuoco di rami secchi accesi all’ingresso di una caverna e li`, al calduccio, stava l’uomo, con l’aria contenta, perche` con il fuoco non soffriva il freddo.
あちこち探し回った末に、遠くの方に明かりが見えたので、みんなでそちらに近づいてゆきました。それは洞穴の入り口で燃やされていた枯れ枝の炎でした。そしてその暖かい場所には、火のおかげで寒さから逃れることができて満足そうな人間がいたのでした。
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その素敵な避難所を見たとき、牛も羊も馬も犬もオオカミもキツネも中に入ろうと駆け出しました。しかし人間は太いこん棒を手にして言いました:
- ストップ!洞窟の中に入れてあげたら何をくれるんだい?
- わたしのミルクをあげるわ! ? 牛が言いました。
- わたしは毛を ? 羊が言いました。
- ぼくの背中に乗せてあげるよ! ? 馬も言いました。
彼らは中に入ってゆきました。洞窟はもういっぱいです;そこで犬が言いました:
- あの2匹、あそこにいるやつらだけど、気をつけてないとひどいことをされるよ。ぼくを中に入れてくれたら番をしてあげるよ。
- きみも中にどうぞ… - 人間は答えました。
La volpe e il lupo, invece, non vollero dare niente in cambio del caldo della caverna, e cosi` dovettero restare nel bosco. Infuriati, corsero tutta la notte per non morire di freddo. Ancora oggi sono arrabbiati!
でもキツネとオオカミは洞窟の暖かさと引きかえに何もわたそうとはしなかったので、森の中に残らなくてはなりませんでした。怒り狂った2匹は、凍え死にしないために一晩中走りつづけました。今もまだ怒っているんですよ!
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(イタリア語版テキストの全文は、 こちらをどうぞ。)
******************************************************** テキストのタイトルにもあるように、イタリア語で冬はinverno(インヴェルノ)といい、ラテン語のhibernum(寒い時期)が語源です。
イタリアというと「温暖な気候(il clima mite)」とか「さんさんと輝く太陽(il sole splendente)」などがイメージされ、冬もさぞかし過ごしやすいのだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところがどっこい、イタリアの中でも北の方の冬は寒くて暗くて、しかも霧(la nebbia)が出るほどジメジメしてとても快適とはいえません。
特に今年の北イタリアの年末年始は数十年ぶりの大雪(la nevicata abbondante)続きでした。私が住んでいる東の方は20cm程度の積雪だったのでまだ大丈夫でしたが、ミラノ、トリノ、ジェノヴァなど西の方は豪雪のために交通が麻痺してしまったり、スリップ防止用に撒く塩が品切れになってしまったり大変だったようです。
2月に入ってやっと暖かくなったなぁ、と喜んでいたら、今週はまたまた気温が急降下して、北部だけでなく南部でもかなりの雪が降ったとか...
このように悪いお天気ばかり続く冬は“inverno piovoso(インヴェルノ ピオヴォーゾ=雨の多い冬)”、“inverno nevoso(インヴェルノ ネヴォーゾ=雪の多い冬)”と呼ばれます。
反対に「雨や雪が少ない冬」は“inverno asciutto(インヴェルノ アッシュット=乾いた冬)”、「暖冬」は“inverno mite (インヴェルノ ミーテ=穏やかな冬)”、そして“inverno rigido (インヴェルノ リジド)”というと「寒さの厳しい冬」のことです。
さて、寒くなると恋しくなるのが温かい飲み物。
ハーブティー(la tisana)やホットチョコレート(la cioccolata calda)などもうれしいですが、冷え切った身体を手っ取り早くポカポカ温めたいときに一番お勧めなのはヴィン・ブルレ(il vin burle`)です。
これはワインにハーブやお砂糖を入れて温めたもので、北イタリアの各地で古くから親しまれている冬の風物詩とも言える飲み物なのです。
Ricetta Vin Brule`
ヴィン・ブルレのレシピ
*Ingredienti per 4 persone*
4人分材料
1/2 litro di vino rosso
赤ワイン 1/2リットル
100 gr di zucchero
砂糖 100g
4 chiodi di garofano
クローブ 4本
1 stecca di cannella
シナモンスティック 1本
1/2 limone
レモン 半個
*Preparazione*
調理手順
Sbucciate il limone, togliendo solo la parte gialla.
レモンの皮の黄色い部分だけを剥きます。
Mettete in un pentolino il vino , aggiungendo lo zucchero, la cannella, i chiodi di garofano e la buccia di limone e mescolate bene.
小鍋にワインを入れ、砂糖、シナモンスティック、クローブ、レモンの皮を加え、よく混ぜます。
Ponete il tegame su fuoco medio e fate bollire per qualche minuto, mescolando con un cucchiaio di legno.
鍋を中火にかけ、木製のサジでかき混ぜながら数分間沸騰させます。
Togliete la pentola dal fuoco e fate riposare per qualche minuto prima di servire.
鍋を火からおろし、数分間休ませてから供します。
E' consigliabile filtrare il Vin Brule con un colino.
できればヴィン・ブルレは茶漉しで漉してください。
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実はヴィン・ブルレには数え切れないほどのレシピがあって、上記のものはいわばベースです。ここに他のスパイスや果物やリキュールを加えたり、砂糖の代わりに蜂蜜を入れたり、沸騰させた時にフランベしたりすることによって、各地域、各家庭それぞれの「ヴィン・ブルレの味」が決まってきます。
我が家で作るときには上記のベースに小さく薄く切ったリンゴとフェンネルシードとジュニパーベリー、それにほんのひとかけらのショウガを追加します。沸騰時間もアルコールをできるだけとばすためにちょっと長めです。使うワインは赤だけじゃなく白でもOK。安価なテーブルワインで充分ですが、あまり酸味がないもののほうがおいしく出来上がるようです。
風邪のひき始めのときなど、これを飲んでコソッと寝床にもぐりこんでしまえば、翌日にはすっかり元気回復していることもしばしば。摂取カロリーはかなり高いと思われますけどね。
ところで、イタリア語の“inverno”には日本語の“冬”と同じく「低迷期」という意味もあります。世界中で景気が悪化している今、イタリアの新聞やニュースでも、また人々の会話の中でも
- Questo inverno dell’economia mondiale sara` lungo e rigido.
(この世界経済の冬は長く厳しいものとなるでしょう。)
などという表現がよく見聞きされるようになりました。
どうか不況という冬の寒さの中でも、ほんわりポカポカと心を温めてくれるヴィン・ブルレのような出来事が、このコーナーを読んでくださっている皆さまにもやってきますように。。。。
【身体の芯から温まるヴィン・ブルレ。奥に写っているのは専用のミックス・スパイスです。】
ではでは、Alla prossima!!(また次回お会いしましょう!!)
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